兵役についてー韓国友人の意見(2)

 「有名人の兵役不正逃れ事件について」また別の韓国友人Sさんからメールが届きました。Sさんは、大学生のご主人と一緒に日本に住んで5年目になるファッションイラストレーターです。家も近いので家族のように親しくつき合っています。 

◆◆◆ S さんからのメール 
 まず知っておいた方がいいことは、韓国では芸能人とか有名人は公人といって厳しいほど責任を問われます。それは兵役問題だけではなく普通の生活の中でも、普通の人より「社会的な責任」を言われて、厳しく裁かれる場合が多いです。今回も芸能人だから凄い話題になったでしょう。
 私も実際に軍隊を経験したわけではないので、よくは分かりませんが、二十歳になって急に家族と離れ、2年余の期間を過すことだけでも心細くなるでしょう。しかも個性も人格もお構いなく扱われ、軍隊の訓練途中に死んでも葬式費用として、いくらかもらえるだけ…とかの噂もよく耳にしました。
 しかし自ら望んで厳しい軍隊に入ろうとする人もいたし、一方では、何とかして楽な軍隊に入るために大学の卒業後に、学士将校(少し楽な立場で生活できるが、期間が長くなる)になる人もいて、色々悩みます。
 大学に入って学んでいる間は、令状が出されても延ばすことができます。それで博士まで終ってからいく人もいました。しかし歳を取って軍隊にいくのも、それはそれで大変だそうです。
あるいは彼女にふられた時とか、なにか壁にぶつかった時の逃げ場、というかリセットできる場所として、入隊志願をするケースもたまにありました。
 友人たちは確かに軍隊にいってきたら変わりましたね。帰ってきた時、いい面も悪い面も感じたと思います。いい面だと…大人になった感じでした。悪いと思ったことは…たとえば…繊細さとかいい意味の弱さとかがなくなった感じでしたね。しかしそれはなくなったわけではなく、少し見えにくくなったのだな…と今になって思います。私の個人的な考えですが…。
 何年か前までは(今は分かりません)軍隊にいってない男は、いく資格がないと考え、それを恥に思うこともありました。学歴があまりない人とか、家族関係になにか問題がある人、犯罪歴がある人、体力が弱い人…いろいろな条件でいけない人もいます。
 冗談半分で「男は軍隊にいってこないと…」というし、多くの人がたぶんそう思っていると思います。しかしその本人と息子を持つ親の心は違うでしょう。ほとんどの人が避けられることだったら避けたいという思いなのではないでしょうか。
 しかしお金でそういうことができると、弱いものばかり軍隊に行って苦労する結果になるので、あってはならないことだと思います。社会変化に合わせて、軍隊も少しづつ変わっているそうなんで…これからに期待するしかないな…なんて思いました。
                                   ◆◆◆ここまで
 話し言葉にはほとんど不自由のない S さんですが、こんなに長い文章を書くのはさぞ大変だったと思います。S さんの考え考え綴られた文章から、兵役が韓国の青年とその家族にとって大きな問題であり、悩みであり、それ故に今回の有名人の行動にも「あってはならないこと」と言いながらも暖かい目が注がれているように感じられました。
 Toppokkiさん、参考になりますでしょうか?